市野川 河川環境モニタリング学習会 講義内容

実施日: 平成20年6月7日(土)
場 所: 羽尾1区集会場、市野川(滑川町羽尾地区)
講 師: 自然共生研究センター長 萱場祐一氏
内 容: 生き物の生息環境を把握するための簡易的な河川測量技術の習得。(講義及び実地研修)
受講者: 東松山県土整備事務所 3名、セントラルコンサルタント 3名、市民 8名
主 催: 比企の川づくり協議会

はじめに

市野川羽尾地区の蛇行河川の治水対策は、治水面と環境面から河川管理者(埼玉県東松山県土整備事務所)、滑川町、市民団体、専門家により協議した結果、当面の工事区間(1蛇行分。約100m)について2WAY方式を採用し、工事が行なわれています。
しかし、この方式は全国的にも事例が少なく、2つの川(蛇行河川と新川)が川の営みの中でどのように変化していくか、予測が困難な状況にあります。
そこで、今後、モニタリング調査を開始・継続し、その結果を踏まえて、上流側の蛇行区間の治水対策を検討することになりました。
今回はその一環として、これまで連携して取り組んできた市野川協議会のメンバーを対象として、自然共生研究センターの萱場センター長らにおいでいただき、河川環境モニタリングについての学習と実地研修を行いました。

市野川で採用した2WAY方式

市野川で採用した2WAY方式


生物生息環境把握のための微地形測量の考え方


生物生息環境把握のための微地形測量の考え方

所感

  • 川の調査というと、通常、『水質調査』や『生物調査』を思い浮かべますが、今回は、『川の構造(微地形)』を調査する考え方と調査方法を学びました。

  • 測量技術としては、通常の河川測量と同じですが、測量スケールが瀬や淵などの生物生息空間の把握できる細かなスケールで行うといったものです。

  • 「河川環境がどのように変わったか。」といった難しい課題に対し、生物が生息する空間(生き物の棲家)を科学的、客観的に把握するこの方法は、とてもリーズナブルで分かりやすい方法だなと感じました。

  • 幸運にも、比企の川づくり協議会のメンバーに測量士がいることから、今後、基本的な測量技術を習得し、河川管理者や滑川町とも連携し、川の客観的な健康診断にチャレンジしていきたいと思います。



資料

河道内微地形とハビタットの分布と構造(把握方法を中心として)、萱場祐一 (環境保全学の理論と実践?(2003)、監修・編集森 誠一、信山社サイテック)